西播磨日本酒ゆかりの地

日本酒、醤油、味噌、そうめん――。西播磨では、日本人の食と健康を支える発酵文化が生まれ、成長してきました。奥深い山々と清流、澄んだ空気という豊かな自然が育んだものです。豊かな食文化がある地域には人が集い、集落ができ、城下町や門前町、商業地と発展していきます。そうした歴史の息吹を体感できる旅を楽しめる空間が、西播磨には数多くあります。


日本酒発祥の地とされる庭田神社(宍粟市)

中国自動車道・山崎IC から車で20~30分の農村地帯に、鎮守の杜に護られるようにしてたたずみます。「播磨国風土記」に、国造りの神・伊和大神(いわのおおかみ)がこの地で宴を開いた際、水で戻した干飯にカビが生えて酒が誕生した、などとする記述があります。その故事を奉ったのが庭田神社で、近くを流れる「ぬくゐ川」で、初めて日本酒が造られたと言われています。

〈ひっそりとたたずむ庭田神社〉

 神話の時代から今に続く日本酒の系譜。それは、緑深い山々とその谷あいを縫う清冽な川の流れ、温暖で肥沃な土地と澄んだ空気という自然に恵まれた土地柄によるものです。それが良好な酒米を生み、江戸時代には地域の一大産業に成長しました。さらに、県立農事試験場で品種改良など長年にわたる研究の末、酒米の至宝「山田錦」が誕生、ほかにも酒造に適した酒米が数多くあり、日本有数の酒処の地位を不動のものとしています。こうしたことから播磨には数多くの酒蔵が点在、西播磨については老松酒造(宍粟市)、山陽盃酒造(同)、奥藤商事(赤穂市)の三つがあり、味はもちろん、イベントなどを通じて日本酒の魅力を伝えています。


老松酒造(宍粟市山崎町)

 1768(明和5)年に創業、250年余の歴史を持ちます。周囲を山に囲まれた盆地で、山から湧き出る豊富な伏流水と、酒造りに適した酒米が収穫できる地理的条件に恵まれ、寒造りの低温長期発酵で、手作りで仕込んでいるのが大きな特徴。ゴールデンウイークには、イベント「蔵開き」を開き、地元はもちろん県外の日本酒ファンが集い、酒蔵を開放しています。蔵見学や利き酒なども実施。昔の酒造りの道具を数多く展示した資料室もあります。

宍粟市山崎町山崎12
0790‐62‐2345
営業時間 10~17時
駐車場あり(10台)
木曜定休
蔵見学は要予約(15時以降で)。10~1月は蔵外からの見学

〈老松酒造〉



山陽盃酒造(宍粟市山崎町)

 約180年前の1838(天保8)年に創業。代表的なブランド名「播州一献」には「播州産の米と水を使った播州のお酒を、一献どうぞ」という意味が込められ、昔ながらの味わいのある日本酒にこだわっています。関西で唯一、鉱山貯蔵庫を持ち、年中温度差が少ない坑道で熟成された大吟醸「明壽蔵」は、まろやかで深い味わいを醸し出します。

宍粟市山崎町山崎28
営業時間 11~16時半
年中無休


〈山陽盃酒造〉



奥藤商事(赤穂市坂越)

 廻船業などで財をなした奥藤家が1601(慶長6)年に酒造りを始めました。「ある日、どこからともなくやって来た白髪の老人2人に、主人がお茶を出して『いずこより来たり給う』と尋ねると、2人は『かくれの村より』と答え、米俵とヒシャクを置いて立ち去った。主人は『酒を造れというお告げであろう』と始めた」との言い伝えが残っています。代表的なブランドは、赤穂の地にちなんだ「忠臣蔵」。最近の淡麗辛口のようなあっさりした味でなく、飲みごたえのある豊かな味わいが魅力です。酒蔵見学はしていませんが、敷地内に酒造や廻船関係の資料を展示した酒造郷土館があります。

赤穗市坂越1419‐1
営業時間 9~17時
0791‐48‐8005
日曜・祝祭日定休
駐車場あり(10台)

〈奥藤商事 酒造郷土館内〉

まるっと西播磨ストーリー

兵庫県西播磨地域(相生市、たつの市、赤穂市、宍粟市、太子町、上郡町、佐用町)の魅力あふれるストーリーを紹介いたします。

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